トップ選手に欠かせないのは
「自律力」。
自分の食事は
自分で管理。
2025年3月、水泳のトップジュニア選手を対象に行われたAOAQUA主催の「春のスイムキャンプ」。プログラムの一環として栄養士の柴崎真木さんが子どもたちにも分かりやすく食事指導してくださった内容の一部を、特別に公開させていただけることになりました。ジュニア選手のいるご家族、とりわけ選手本人にぜひご覧いただきたい内容です。
栄養士 柴崎真木さん インスタグラム
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AOAQUA 次回スイムキャンプ案内(2026.09.19-22 @富山県)

[5大栄養素について]
食事には、「体を動かすエネルギーになる」「体を作る材料になる」「体調を整える」という3つの重要な役割があります。3つの役割を果たすために必要なのが炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素です。ご飯やパンなどの炭水化物はエネルギー源となり、肉や魚の脂、揚げ物などの脂質も体を動かすエネルギー源となります。肉や魚、卵などのたんぱく質は筋肉や骨を作り、野菜や果物に含まれるビタミン・ミネラルは体調を整えます。これらをバランスよく摂ることで、パフォーマンス向上や疲労回復につながり、日々の練習の成果を最大限に引き出すことができます。
[バランスのよい食事とは]
5大栄養素が揃った食事が「バランスの良い食事」です。具体的には
(1)主食(ご飯、パン、麺など)
(2)主菜(肉、魚、卵、大豆製品などのおかず)
(3)副菜(野菜、大豆、きのこ、海藻などのおかず)
(4)汁物(お味噌汁やスープ)
(5)果物・乳製品
この形を揃えると5つの栄養素と3つの役割が整いやすくなります。バランスのよい食事は、練習に必要なエネルギーや栄養素を確保し、疲労回復や体づくりを支える土台になります。ジュニア選手を対象とした調査でも、主食・主菜・副菜などをそろえて食べることは、記録の向上や疲労回復に役立つ可能性が示されています。

[エネルギー(炭水化物)の重要性とご飯の量]
特に意識してほしいのは、十分なエネルギーを主食から摂ることです。ご飯の摂取量が少ないと、体の材料になるはずの「たんぱく質」が、体を動かすためのエネルギーとして代わりに消費されてしまいます。これでは、筋肉をつけたり身長を伸ばしたりするための材料が足りなくなってしまいます。
エネルギー(カロリー)が不足すると、身長が伸び悩む、筋肉がつかない、疲れやすくなる、怪我をしやすくなる、といった問題が起こります。練習後に疲れすぎて食べられない、すぐに寝たいと感じる人は、エネルギーが足りていないサインかもしれません。気持ちが落ち込みやすくなったりお腹の調子が悪かったり風邪をひきやすい人もエネルギーが足りていないのかもしれません。
自分の食事量が足りているかチェックする最も簡単な方法は「体重の増減」です。成長期の皆さんは、身長が伸びるので、本来は体重が増えていくのが自然です。体重が維持されている、または減っている場合は、エネルギー(ご飯の量)が不足している可能性があります。

[長持ちするエネルギーと急速なエネルギー]
エネルギー源になる炭水化物はご飯だけでなく、お菓子やジュース、エネルギーゼリー、スポーツドリンクなどもありますが、それぞれ特徴が異なります。ご飯は腹持ちが良く、エネルギーが長持ちします。一方で、ゼリーやジュースなどの甘いものは吸収が早い反面、長持ちしません。練習を長く頑張り、体を大きくするためには、長持ちする「ご飯」をエネルギー源の基本とし、甘いものは必要に応じて上手く組み合わせるようにしましょう。
練習量の多い高学年のスイマーは、1食250~300g程度のご飯を食べることを目標にしてほしいです。ご飯の量は自分の体のサイズと体重の変化をみながら決めていってください。最初からたくさん食べるのは難しいかもしれないので、少しずつ食べられる量を増やしていくことも、水泳の練習と同じように一つの「トレーニング」として取り組んでみてください。また、一度にたくさん食べられない場合は、補食としておにぎりを食べたり、麺類やパン、バナナなど炭水化物が多い食品をとるとよいでしょう。
たんぱく質を含む食品は1回の食事で2~3種類あると理想的です。朝ごはんなら卵と納豆、ハムエッグ、牛乳やヨーグルトなど。一回の食事で摂りきれない場合はおやつや補食でたんぱく質を摂るようにしましょう。

[野菜の役割と腸内環境]
おかずには、肉や魚だけでなく、野菜もしっかり摂りましょう。野菜には体調を整える働きのあるビタミンや、腸内環境を整える食物繊維が多く含まれています。腸は栄養を吸収する大切な場所です。どれだけ良いものを食べても、腸が整っていなければ栄養が十分に吸収されません。栄養を効率よく体に取り込むためにも、野菜を食べて腸を綺麗に保ちましょう。嫌いな野菜があっても、一口だけでもチャレンジしてみる気持ちが大切です。
[ご飯とおかずの割合と「自律力」]
ご飯とおかずの割合の目安として、お弁当箱があったら「半分がご飯、半分がおかず(主菜・副菜)」を意識すると、ちょうど良い割合になります。たくさんのトップ選手たちの食事を見ても、全員に共通しているのが「バランスよく様々な食材を揃えて食べている」ことです。さらに、トップ選手は自分で食事をバランスよく選んだり、自分で作ったりする「自律力」を身につけています。皆さんも、まずは家のお手伝いなどから始めて、自分の食事を自分で管理できるようになっていきましょう。

[よく噛むことと姿勢の大切さ]
よく噛んで食べることを心がけてください。よく噛むことで消化・吸収がスムーズになり、栄養が体に行き渡りやすくなります。また、食べる時の姿勢も重要です。背中を丸めて食べていると、お腹が圧迫されてたくさん食べることができません。背筋を伸ばし、良い姿勢で食べましょう。よく噛むことは、強い力を出すために必要な「歯や顎を丈夫にする」ことにも繋がり、パフォーマンスの向上に関係します。食事を効果的にするためには、栄養だけでなく、睡眠や休養をしっかり取り、規則正しい生活習慣を整えることが大前提です。

[おすすめの補食:あずき(あんこ)の力]
おやつ(補食)としておすすめしたいのが「あずき(あんこ)」です。あずきにはエネルギーとなる糖分だけでなく、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維には腸を綺麗にするだけでなく、エネルギーの吸収を穏やかにして持続させる働きがあります。そのため、砂糖単体のジュースやゼリーに比べてエネルギーが非常に長持ちします。また、おはぎや大福などの和菓子は洋菓子に比べて脂質が少なく、さらに、たんぱく質も一緒に摂れるというメリットがあります。お菓子を食べたいときには、あずきを使った和菓子(おはぎ、大福、ぜんざい、小倉トーストなど)を選ぶのが非常におすすめです。

[自然な食品を選ぶ工夫]
市販のエネルギーゼリーやスポーツドリンクは手軽で便利ですが、原材料に果糖ぶどう糖液糖や様々な添加物が含まれていることが多いです。これらは急速なエネルギー補給には役立ちますが、摂りすぎると腸内環境を乱す原因になることもあります。スポーツ選手は特にエネルギー・炭水化物をたくさん摂らなければならない生活なので、ジュニア期においては、できるだけ自然な食品から栄養を摂ることが理想的です。あずきのように、ビタミンや鉄分などの栄養素が自然な形で含まれており、添加物の少ないシンプルなものを選ぶ工夫を、日頃から意識してみてください。