ブラ!旅人まりーしゃです。私はバックパックひとつで世界を旅する身長152cmのミニマム女子。これまでに125カ国を周り、旅のコラムを書きながら日々のハイボールを楽しみに生きてます。えへ。
さて、今回も「theANko」をお供に「妄想旅」をお届けしたいと思いますが、冒頭の挨拶から国を予想できたでしょうか?舞台は、南太平洋に浮かぶ群島国家フィジーです。
「レッツ theANko トラベル!」
…をイメージしますが、旅人の私が降り立ったのはリゾート地への中継地点となる、国際空港のある都市ナンディだった。
そこはリゾートのリの字も見当たらない、現地民の生活が溢れる街。
じっとりと湿度の高い中、窓が開放された路線バスに乗ると、制服を着た現地の学生がおしゃべりをしながら下校している。
その中に紛れてたどり着いたバス停にあったのは地元のマーケット。どうやら学生たちの買い食いスポットのようだ。
すると、ほんのりスパイスの香りが私の鼻をかすめた。
香りになびかれるように進んで行くと、ゴリゴリのパンチパーマ頭をしたおばちゃんたちがロティを売っている。
ロティとは全粒粉を使った無発酵パンの一種で、クレープのようなもの。インドやアジア、アフリカ諸国で食べられていて、菓子やパンの位置付けである。
私が近付くと、
「ギロリ」
鋭い眼光でおばちゃんに睨まれた。
「買うのかい?」
「か、買います(ゴクリ)」
おばちゃんの迫力に緊張しながら、私は商品を選んだ。
具の種類は、コンビーフ、ツナ、チキン、ラム。味付けは全てカレーで、四角い形にラップフィルムで包まれている。
「コンビーフをひとつ」
値段は日本円にして約55円と安かった。
かじってみると、
「芋じゃん」
中から出てきたのはほぼほぼ芋である。ジャガイモであろう。芋の具合は半分くらい潰して半分くらいゴロゴロが残っていて、ボソボソしている。
そこに申し訳なさそうに、具がちょっぴり混ざっている。
カレー味の芋はシンプルに美味しいが、おばちゃんこそパンチがあるものの、ロティ全体としては物足りない…。
そこで妄想が始まった。
私がおもむろにポケットから出したのは、飲むあんこtheANkoだった。
「こんな時のチョイ足し救世主だもんね〜♪」
ニンマリしながら、theANkoをロティに塗りつけると、パサついた芋にまとまりが生まれ、コンビーフの塩気とあんこの甘さが絶妙にウマイ!これ、アリだわ!
すると、
「ギロリ」
再びおばちゃんの鋭い眼光が光った。
「あんた、私の料理にチョイ足しなんて度胸あるじゃないかっ!」
「ヒィ!」
おばちゃんのパンチが飛び出す前に、私は思わずtheANkoを塗ったロティをおばちゃんの口にストレート!
「うぐぐっ!…え!なによこれ!ウマイじゃないのさ!」
おばちゃんはその味に戦意喪失したのか、しばらくの間黙り込んでいた。迫力満点だったパンチパーマが少し小さくなっているようだった。
そして表情はギロリからニコリに変わり、
「いいパンチだったぜ…」
と言い残し、マーケットの奥に消えていったのだった。(妄想です)
旅人まりーしゃ(Instagram) バックパッカーで旅を続けるコラムニスト。渡航国の数は125カ国。週刊プレイボーイのニュースサイトで6年にわたり旅のコラムを連載。Sサイズモデルとしても活躍。