サラーム。旅人まりーしゃです。私はバックパックひとつで世界を旅する身長152cmのミニマム女子。これまでに125カ国を周り、旅のコラムを書きながら日々のハイボールを楽しみに生きてます。えへ。
さて、今回も「theANko」をお供に「妄想旅」をお届けしたいと思います。舞台は、アフリカ大陸北西端の国モロッコです。
「レッツ theANko トラベル!」
世界一周旅行者としては、いつかは必ず足を踏み入れたいと思っていたアフリカ大陸。
ヨーロッパを周遊していた私は、スペイン南端にあるタリファというサーファーの町からジブラルタル海峡をフェリーで渡り1時間、モロッコに入国した。
青い街シャウエン、迷宮都市フェズなど、特色のある街を越えて、ある日ピンクシティと呼ばれる街マラケシュに着いた。
マラケシュは淡い茶ピンクの建物で統一された旧市街が美しく、サハラ砂漠への玄関口でもある魅力的なところだ。
しかし、中心地となるフナ広場では日々観光客への執拗な勧誘やお値段異常のボッタクリが後を絶えず、旅人は疲弊していた。
「ああ、今日もフナ広場での戦いにヘトヘト。休憩がてら、ランチでも食べるか」
私は裏路地で見つけたレストランにふらっと入店し、クスクスを注文した。
クスクスは小麦粉から作る粒状の粉食で、世界最小パスタと言われている。
ホクホクに煮込まれたニンジンやズッキーニなどの野菜、ひよこ豆などが乗ったクスクスをスプーンで口に運ぶと、ポロポロとほぐれる食感がたまらず、素朴で健康的な味に旅人の体は喜んでいた。
思わず、クスクスと笑みがこぼれる(言いたいやつです)。
ここで私の妄想が始まった。
クスクス、クスクス、クスクス…。
あれ、おかしいな、笑いが止まらない…!皿の中をよく見ると、普段クスクスには入っていないキノコが入っていた。
「え」
慌てて顔を上げると、周りのテーブルに座るモロッコの男たちが笑っている。
「クスクス!それは笑い茸だよ!お前さんはもう一生笑いが止まらんよ!」
クスクス、クスクス…。よく見たら店内の客が全員不気味に笑っているではないか。
「えええ!なにこれ!怖い!み、水…!」
「諦めろ、旅人。お前も俺たちと同じように笑いの止まらない運命なのだ。クスクス…。」
どうしよう!
そういえば、笑い茸の解毒薬には大豆の煮汁が効く(※)って聞いたことがあるぞ!北海道産小豆の成分も効力があるかも知れない!
私は、ポケットから取り出した飲むあんこ「theANko」を一気飲みした。
「ごっくん。うん、うまい!」
するとどうだろう。たちまち不気味な笑いが止まり、ホッと穏やかな笑顔に落ち着いた。
「みんなもこれを!」
私は周りの男たちが食べていたクスクスの皿の上にtheANkoを絞り出した。
「なんだそれは?笑いが止まるのか…?」
男たちは不審そうな顔をしながら、あんこの乗ったクスクスをスプーンですくった。
「う、うまい!少し塩気のあるクスクスの粒を、この得体の知れない茶色い物体がひとまとめにし、一口サイズのお菓子のようだぞ!」
偶然にも小さなおはぎのようになったそれは、男たちを次々と不気味な笑いから解放していった。
「旅人よ、笑いの止まらなかった我々を助けてくれてありがとう!」
こうして店内は、穏やかな笑顔に包まれるのだった…。(妄想です)
(※)東洋医学では豆の煮汁に解毒作用があるとして用いられることがありますが、みなさんが笑い茸を食べてしまった時はもちろんすぐに病院に行ってください。
旅人まりーしゃ(Instagram) バックパッカーで旅を続けるコラムニスト。渡航国の数は125カ国。週刊プレイボーイのニュースサイトで6年にわたり旅のコラムを連載。Sサイズモデルとしても活躍。