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theanko アスリート インタビュー

2016年世界ベンチプレス選手権優勝・上田真司選手インタビュー

theANkoが応援するアスリートの皆さんをご紹介するインタビューシリーズ。
今回は、2016年にデンマークで行われた世界ベンチプレス選手権優勝(120kg級)など、パワーリフティング界を牽引する上田真司選手のインタビューです。

上田真司:所属 K’s GYM 48歳
▶️IPF bench presser 120kgclass(WR355kg)
▶️2013 IPF world best lifter (open)
▶️2016world bench press 120kgclass (open)champion
Instagram(@super_umibozu)

●インタビューの前に競技の説明です

パワーリフティングとウエイトリフティング、違いが分かる人はそんなにいないはず。インタビューのときも違いがよく分かっておらず、世界チャンピオンに丁寧に競技の説明をさせたこの私が通りますよ。

日本パワーリフティング協会のHPより
・バーベルを肩に担ぎ屈伸を行う「スクワット
・ベンチ台の上に横になりバーベルを胸につけて挙上する「ベンチプレス
・床に置いてあるバーベルを引き上げる「デッドリフト
の3種目で合計挙上重量を競うスポーツです。
3種目の合計重量が同じ場合は、体重が軽い選手が勝利となる。(記録、体重が同じ場合は先に記録を出した選手が勝利となる)

ウエイトリフティングはJOCの競技紹介サイトから。
・両手でバーベルを握り、一気に頭上まで持ち上げて立ち上がる「スナッチ」。
・プラットフォーム(床)からいったん鎖骨の位置までバーベルを持ち上げ(クリーン)、次の動作で頭上に差し上げる(ジャーク)「クリーン&ジャーク」。
これらをそれぞれ3回ずつ行い、それぞれの最高重量の合計を競うのがウエイトリフティングです。

文字面だけみてもイメージがわかないので、もっと知りたい方は「とんぺーフィットネス」さんのブログを御覧ください。それぞれの動画もついていてわかりやすかったです。
ちなみにウエイトリフティングはオリンピック種目ですが、パワーリフティングはオリンピック種目ではない(ただしパラリンピック種目ではある)という違いも。

ーパワーリフティングを始めるきっかけや、これまでのスポーツ歴を教えてください

高校に入ったときにはすでに極真空手をやっていました。一般の道場に通っていたので高校のクラブには何も参加していなかったんです。そうしたら、「体格良いのになんでお前クラブに入っていないんだ」とウエイトリフティング部顧問の先生に問いつめられましてね。「空手道場に通うにしても毎日ちゃうやろ、空手の補強でウエイトリフティングをやったらどうや」と押し切られて、並行して活動することになったんです。

僕はもともと力が強かったので、ウエイトリフティングでも結果がすぐ出てきました。それで面白くなった。1年生から県の新人賞を獲るなどしたので、それから完全にウエイトリフティングだけに集中するようにしました。

ー顧問の先生は見る目がありましたね。ウエイトリフティングからパワーリフティングに移った経緯は?

部活が終わった後にさらにジムに通ったりして自主練をしていたんです。そのジムでパワーリフティングと出会いました。パワーリフティングの方に世界で活躍されている方が何人かいて、なんだかそっちが面白そうだなと思ったので。
パワーリフティングに移った後、高校三年のときに全日本高校選手権で優勝しました。そこからどっぷりはまっていく人生です。

ー高校生にとっては部活でやっていた方が断然楽だと思いますけど、わざわざ外部のジムに通ってまでパワーリフティングに移ったわけですよね。そこまでパワーリフティングにはまる理由はなんだったんですか?

ウエイトリフティングは学校のクラブがあって、監督がいて、チームがあって、と僕にとってはいろいろ縛りが強い印象でした。外部で練習するなとか言われましたし。組織が大きくなると不自由があるんです。

パワーリフティングはマイナーな競技です。30年以上前のことで、まだ当然クラブなどもそんなにないですし。マイナーな分、あまり縛りがなく、みんなで知恵を絞って強くなろうよっていう雰囲気が心地よかったですね。

自分は束縛されるのが嫌いなんです。とにかく強くなりたいと決めたらとことんやりたい。何時間でも練習していたい。やればやるほど数字が出るのが楽しいスポーツですから。
パワーリフティングの魅力はそれだったなと今は思います。

ー30年以上競技をされているとは思えない、情熱とひたむきさを感じます。競技に対するこの真摯な姿勢が世界チャンピオンに導いたと思いますが、30年以上続けていてもなお、練習って楽しいものですか?

楽しいです(きっぱり)。自分の生活の一部ですから。2年前に人工股関節の手術をしたんですが、手術前後数ヶ月くらい練習ができないときがありました。本当に何をしていいかわからないんです、その時間。ぼーっとできない人間なので。常に練習のことを考えていて、仕事が終わった後ちょっとでも時間があるとすぐジムに行ってバーベルを触っちゃう。そういう人間なんです。

だから仕事以外の時間は練習ばっかりしています。僕たちはアマチュアなので遠征費とか、道具や試合にかかる費用は全部自腹。そういうことにも家族は文句を言わないんです。僕のことをすごく理解してくれて、感謝しかないです。

ー今は練習にも厳しい状況かと思いますが。。。

もともと、手術が終わって2年経ち、リハビリ中ともいえる時間なんです。今後どうやって対策を立てようかと考えるいい時間だなと思っています。実は結構手術が尾を引いているんです。

ドクターは最初、「人工股関節を入れるともう競技はできない」と言っていたんです。でも先生を拝み倒してね。何遍も頼んで競技ができるようにしてもらいました。手術自体は成功しているので、徐々にやってもいいよというレベルのところが今です。少しずついい兆しは見えてきたので、今後完全な復帰に向けてプランを練るときかなと思っています。

ーパワーリフティングはアスリートとしては年齢が高い選手が多いことで有名です。上田選手にもまだまだこれからも活躍していただきたいと思いますが、今後の目標はありますか。

致命的な怪我がなければパワーリフティングは40歳を過ぎても第一線で活躍できます。僕が世界大会で優勝したときも45歳くらいだったかな。他にそういう競技はあまりないですよね。ただ、自分がバリバリ思うようにやれる時間も、そんなに長くないと思っているんです。あと一回、とにかく世界大会に出たい。それが今の目標です。

ー話題が変わりますが、いつも試合直前はどんなもので栄養補給していますか?

僕は直前は食べないんです。食べちゃうと、人間も野生動物と同じで満たされるとのんびりしちゃうから。試合でバーベルを持ってる時間は一瞬で、その一瞬にかける闘争心がなくなってしまうんです。動物ってそうでしょう、肉食動物が狩りをするのも空腹だからですよね。食べてしまうと闘争本能がなくなると思ってます。

普段の練習は長時間になるので、栄養は入れています。世界大会を優勝した頃は、1日4,5時間、休みの日は6時間くらい練習していました。それくらい練習すると食べないと体がもたないので。練習後甘いものをとったりするのもそれが理由です。

ーインスタグラムの”スイーツ親父シリーズ”と”あんこ推進委員会シリーズ”見ました。ものすごい情報量で。このムキムキの人がこんなにたくさんの甘いものをバカスカ食べていて、ときどき可愛いうさぎの写真があって、なかなかカオスな世界観でした。

甘いものはめちゃくちゃ好きです(笑)。特にあんこが好きで、インスタでは「あんこ推進委員会」と銘打って、いろいろなアンコを紹介したりしています。練習後の癒やしなんでやめられません。
theANkoも発売後すぐ食べました。あれを食べたら他のあんこ食べられないでしょ。空也の山口さんと昨夏にお会いすることがあり、そのときに「空也もなか」をいただいたんですよ。なんてうまいんやと感動しました。そのときに「theANko」っていう商品が発売されますと聞いて。せっかく栄養を入れるなら甘くて栄養が豊富なものがいいなと思っています。


お話やインスタグラムなどから伺い知る上田さんの印象は、「とにかく愛があふれる人」。競技愛、練習愛、家族愛、仲間愛、うさぎ愛、そしてスイーツ愛。。。それぞれに全力で、それぞれにたぷたぷの愛を注ぐ人。
今は練習愛を注ぐ場所がなくて残念ですが、この時間に手術からの復帰プランを練るよと上田選手。上田選手の笑顔が試合会場で見られる日を待っています。