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インタビュー

老健施設とtheANkoーいずみの里 富澤路子先生インタビューー

theANkoインタビューシリーズ、今回はアスリートではなく、介護老人保健施設いずみの里の施設長で医師の富澤路子先生です。

コロナ禍になって1年ちょっと。大勢の高齢者が暮らす老健施設を率いる富澤先生にとっても、精神的体力的にアスリート並にハードな1年だったそうです。

いずみの里ではtheANkoを日々どのようにご利用いただいているのか、コロナ禍の老健施設の暮らしぶりや職員の方々のご苦労など、貴重なお話を伺いました。

富澤路子先生
富澤路子 内科医。介護老人保健施設「いずみの里」施設長

ーーまずこちらの施設について教えてください。

富澤 介護老人保健施設は要介護状態のご高齢者が自宅などに戻るためのリハビリを行う施設です。また、病院と自宅の間の中間施設とも言われています。老健施設にはそこで生活している入所者のほか、デイサービスを利用する通所者がいます。

いずみの里 外観

いずみの里では入所者は認知症の専門棟の方に20人、一般高齢者は50人ほど。デイケアは月曜〜土曜、多い時は50人ちょっと来所します。登録者は150人ぐらいです。職員は洗濯調理清掃担当なども含めると全部で70人ぐらいです。

「今日はあんこが出るよ」でニコッ

ーーいずみの里では発売当初からtheANkoをご利用いただいています。

富澤 主に入所者の方にtheANkoをよく利用しています。食欲がない方や高齢の方でも効率よく栄養を摂っていただけるので。おかゆがお椀いっぱいに入っていると、もう見ただけで「いらない、食べられない」と言われることもあるんです(笑)。認知症の方は、『食べないと体調が悪くなる』ことや、お腹が空いたこと自体も分からなくなってしまう場合があります。

クリスマスに歌のレクリエーション

でもあんこってたぶん彼らにとって『馴染みのある美味しいご馳走』なんです。認知症の方は特に『好きだったもの』を見ると食欲が出るようです。

ーーあんこだったら食べようかな、みたいなやりとりがあるんですね。

富澤 他のおかずを食べなくてもあんこは食べるんですね、不思議に。あんこがお祝いの席の特別なご馳走だった世代の方々ですので「今日はあんこが出るよ」って言うとニコっと笑ってくれたりするのがうれしいです。

「簡単おはぎ」で食欲復活

ーー具体的にどのようにtheANkoを活用しているか教えてください。

おやつに白玉あんみつ(theANkoを使用したものではありません)

富澤 認知症の入所者さんが思うように食事を召し上がらない時にあんこを使ったりします。「簡単おはぎ」のように、ご飯にあんこをかけて差し上げたら、職員から「全部食べてくれました!」という申し送りがあったり。そんなときはヤッター!と思いますね(笑)。

薬を飲んでもらうときに使うことも。ペッと吐き出してしまう方が多いんです。口にザラザラするものが入るとこちらに不信感を抱いて「変なものを飲ませた」と怒る方もいらっしゃいます。落ち着いて寝ていただきたいときや血圧の薬など、これは飲んでほしいなぁというときにあんこに練り込んでスプーンで差し上げると、もうパクっと食べてくださる。

熱中症気味の方に、お汁粉のように水で伸ばしたものを飲んでいただくこともありますね。こういうときはこしあんが便利です。伸ばすとスープのようになるので吐き出す心配もないし。

ご機嫌が悪いときも、あんこでちょっとご機嫌も治ってくれたり(笑)。認知症の方は妄想や勘違いなどで急に感情的になり、時には不機嫌になってしまいます。そんなとき、おしるこやぜんざいをお出しするととても喜ばれます。普段のおやつはちっちゃなおせんべいやカステラなどのお菓子ですが、あんこが出るよと言うと「今日はいいのが出るね」と喜ばれます。甘いあんこは特別な気持ちになるようです。

職員さんたちが季節の行事を楽しく演出します

あんこは鉄分もあるしお腹に負担もなくカロリーと栄養が取れるので、他のおかずを食べなくてもあんこを食べてくれればこちらもちょっと安心、という気持ちもあります。やはり高齢者は量が食べられなくなるので、こちらとしても、あれもこれも食べてとは言えないんです。

食べる力は生きる力

富澤 自ら茶碗と箸を持って食べるという事はお年寄りにとって何よりも大切。命に繋がるんです。それは薬ではできません。

ーー自発的に「食べたい」と思ってもらうことが重要なんですね。

それが、私が美味しいアンコを買い求める理由です。theANkoは使いやすい上に、味が優れていて食欲を引き出す力があると感じます。今度、パン食のとき小皿にtheANkoを添えてお出ししようと思っているんです。あんぱんのようにして召し上がっていただいて。みなさん喜んでくださると思います。

ーー年配の方は「誤嚥(ごえん)」も気になりますが、theANkoはどうでしょうか。

富澤 チューブに入ったあの硬さのあんこは、液体のものがうまく飲み込めない方にもそのままお出しできるんです。嚥下障害の方には飲物や汁物にはとろみをつけて提供するのですが、あのあんこの硬さはとろみをつけたぐらいの硬さがあるので。スプーンにすくってもこぼれない状態なのも便利です。

いずみの里ではこしあんを差し上げることが多いですね。皮のザラザラが残らないでつるっと入るので、栄養士の方にもこしあんが使いやすいと好評です。嚥下のことを考えるとこしあんを選びますね。

ーーパックの量や形はいかがですか。

富澤 1つを2人分とか、1人の方に2回に分けて使っています。分けて提供したり、残して取っておいたりすることが簡単なのでとても便利です。

麻痺がある方や筋力が衰えている方の体重が増えてしまうと、自分で立てなくなったり車椅子やベッドに移動する時に腰を痛めたりするので、体重管理は大切です。

いずみの里では月に2回体重測定をしています。「栄養ケアマネジメント」というもので、身長体重から主食とおかずの割合を決めたり、食べ終わった後の残量を見て毎日ノートにつけて、栄養素やカロリーの平均を取っています。

ーー出した食事だけではなく、「何を食べなかったか」まで記録するんですね。

コロナ禍での老健施設運営について

座ったままでもできる体操をするみなさん

ーーでは次に、現在の施設の様子を伺います。この1年、高齢者施設で働く方々はとにかく気を張り詰めた1年でしたね。

富澤 うちに限らず、現在はほぼどこの施設も直接の面会は行っていません。居室には入らず、別室でのテレビ電話や遠方からのリモート画面越しで話をしています。それも5分10分。洗濯物も玄関のところにまとめて持って帰っていただく形で、ご家族は施設内には入れなくなっています。

ーーイベントやレクリエーションを楽しみにしている高齢者さんも多かったと思いますが。

富澤 お買い物、ちょっとした外出やお散歩も今はほとんどありません。地域のイベント・お祭りごとなど以前は皆さんを車にお乗せして見に行ったりもしていたんですが、 イベント自体もなくなってしまっているので。

いつもの外出行事が中止になり、ご近所へお散歩

生活する場ですから何人かで集まる場面もありますが、利用者さんはマスクをつける習慣のない方も多く、施設の中ということもあってマスクをつけることも少なかったんです。コロナが広まってからは利用者さんにも必ずマスクをお願いしています。最近やっと習慣になってくれたようです。

ーーデイケアなど外から来る方と空間を共有することはありますか。

富澤 デイケアと入所者の行き来は無いようにしました。今まではリハビリの時など行き来することもあったのですが、今は廊下もビニールカーテンで仕切って完全に行き来を遮断しています。

実はこれはコロナ前からの対応です。以前入所者とデイケアの方と混ざっておしゃべりしていた時にインフルエンザに感染してしまったことがあったので、それ以来このようにしています。その時の経験が今のコロナ対応にも生かされていると思います。

職員もデイケアと入所者の担当は完全に分けて、担当フロアも分けています。複数の場所に共通する職員が後々感染していたことがわかると、施設中に感染が広まる恐れがありますので。なるべく職員も利用者さん達も行き来は減らすことが基本です。

リハビリを受ける利用者さん

ーーコロナ対応ももう1年以上で、職員の皆さんお疲れだと思いますが。

富澤 ハラハラヒヤヒヤで、外出や外食なども控えて神経を使って暮らしているんだろうと思います。若い職員たちもいるんですけれども、友達と飲みに行ったりもできていないんだろうと気の毒に思います。コロナが収束したら存分にねぎらってやりたいですよね。

ーー今一番気になっていること、心配なことはなんですか。

富澤 急変した入所者さんが出た時にすぐ病院にかかれるか、すぐに入院できるか、病室に空きがあるか、というのが不安です。入所者さんに熱が出た時なども今までのようにスムーズに病院で診ていただくことが出来なくて困っています。年末頃は病院も厳しい様子だったのでその時は本当に心配でした。

今までの日本の医療の中で「医者にかかれないかもしれない」なんていう心配をすることは私たちの世代にとっては経験がありませんでしたよね。職員・利用者さんの感染が判明したときのシミュレーションを持ちつつ、あとは粛々と自分たちにできることを日々行っていくだけです。

群馬県 介護老人保健施設いずみの里 | 群馬県邑楽郡大泉町北小泉1丁目26-1

昨今、体力のない高齢者の方が集まる施設は緊張感でピーンと張り詰めた雰囲気ではないかと想像していましたが、いずみの里のブログでは、制約のある中でも楽しく明るく過ごそうと奮闘する職員の皆さんの姿が垣間見えます。感染予防もQOLも、どちらも大切にするという職員の皆さんの強い意思を感じました。「あんこは特別」と言ってくださる入所者の方々に、安らぎのひとときを提供できれば嬉しく思います。